十一面観音 / 湖北 向源寺
十一面観音 / 湖北 向源寺  
 向源寺は、滋賀県伊香郡高月町にある真宗大谷派の寺院。山号は慈雲山。国宝の十一面観音立像は向源寺に属する渡岸寺観音堂に安置されていた像で、1974年に収蔵庫の慈雲閣が完成してからはそちらへ移されている。寺伝では泰澄作とされるが、像容に密教思想の影響がみられることから、実際の制作年代は平安初期、9世紀と推定。像高は約194cm(頭上面含)、檜材の一木彫成。日本の十一面観音像の多くは本面の頭上に小さく11面を表すのが普通だが、本像の場合、頭上面が大きい事、本面の左右に大きく2面を表す事が特色。頂上面を如来形でなく、髻を結い、冠を付けた菩薩形とする点も図像的に珍しい。均整のとれた体躯、胸部や大腿部の豊かな肉取り、腰を捻り片脚を遊ばせた体勢などに印度や西域の風が伺われる。